Animal Nutrition, Graduate School of Agricultural Science, Tohoku University

研究概要
栄養素は動物体の構成要素やエネルギー源となるだけではなく、体内代謝を多様に調節する機能を持っています。本分野では、各種動物の栄養特性を比較生化学的手法を用いて追求すると共に、栄養と体内生化学反応・生理機能との相互関連を個体・細胞・オルガネラ・遺伝子のレベルで解明して、栄養による動物の生命生理の制御機能を研究しています。
沿 革
本分野は昭和23年9月に畜産学第4講座飼養学講座として設立され、昭和42年には家畜飼養学と、平成4年には動物栄養生化学と講座名が改名され、その後平成9年には大学院重点化に伴い応用生命科学専攻・生命機能科学講座・動物栄養生化学分野に、平成15年には大学院改組に伴い同専攻の動物機能科学講座同分野に移行した。
初代教授の故・波多野正教授の下に、故・亀高正夫助教授、湯山章助手、故・近藤冨美雄助手の陣容で、各種飼料原料の開発と評価などの研究が進められた。その後、伊藤宏助手(北里大学元学長)、故・松本達郎助教授(本学名誉教授)が任用・赴任された。昭和38年には松本助教授が教授に昇格し、堀口雅昭助教授(昭和44年着任、本学名誉教授)、千秋達道助手(昭和41年採用、北里大学元教授)、秋葉征夫助手(昭和42年着任、本学名誉教授・元総長特命教授)のスタッフの下で、家禽・小動物における飼料中特殊成分の栄養生理やルーメンにおける消化メカニズムに関する研究が進められた。
昭和57年には堀口助教授が教授に昇格し、秋葉助教授(昭和60年昇格)、堀金彰助手(昭和59年採用、食総研元主席研究員)、高橋和昭助手(昭和60年採用)の下で、化学を機軸とした、C-P化合物の代謝とC-Pムターゼの機能、人工ルーメンの開発、鶏の脂質代謝、物質・薬物の代謝や免疫能の栄養制御に関する研究へと進展した。
平成3年には秋葉助教授が教授に昇格し、豊水正昭助教授(平成5年着任)、高橋助手、および佐藤幹助手(平成4年採用、現東京農工大教授)を中心に、生化学的手法による動物(特に鶏)の栄養生理特性の追求と、分子生物学的アプローチによる栄養素機能の新規開発とその機構の解明を目的とした研究教育が進められてきた。
平成20年4月には豊水助教授が教授に昇格し、高橋准教授(平成21年4月昇格、現米沢女子短期大学教授)とともに、2大研究課題「飼料資源の制御による家畜の安定的生産の確保」と「食物連鎖内での家畜飼料と畜産物の安全確保」に関する研究教育を進めている。前者では「代謝ゆらぎ」の極小化に向けた飼料素材による効率的制御法と飼養法の開発に取り組み、後者では「飼料・畜産食品の安全」の極大化のための最適評価系の確立を目指す。
これまで、当講座・分野より250名以上の学部卒業生を輩出し、飼料・乳製品・食肉・食品などの製造業、食品流通、製薬、農業関係諸団体などで指導者として、そして中堅として活躍している。また、国・地方の研究行政機関には50名以上が進出し、農政と農学研究の指導を行っている。大学などの教育機関においても約20名の卒業生が農学関連の教育研究を進めている。大学院修士課程修了者・博士課程修了者は約90名近くを数え、外国人留学生・外国人招聘研究者は15名を越える。

